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静かに走ろう [気がついた]

IMG_0485.JPGIMG_0486.JPG電柱に「静かに走ろう」というポスター状の幕が取り付けられている。文字は小さくはないが、色も控えめなためか、目立たない。世田谷の住宅街の中を通る小道の脇にひっそりと掲げてある。最初は、なんのことか分からなかった。この近くに大学の総合運動場があるので、ランニング練習中の体育サークルの掛け声がうるさいというクレームなのか、それにしても... 2枚目の写真は、ポスターから20mほど進んだところで逆方向を見たところ。道の狭さがよくわかる。

最初にこのポスターを見つけたのは、休日の午前中。人通りも少なく、もちろんランニングやジョギングする人も見えない。車もほとんど通らない。ここを静かに走れというのは誰に対してなのだろう。この疑問が解けたのは、数日後の平日の早朝のことである。

朝の6時半ころ、まだ日が昇りきっていない冬の朝に、同じ場所に通りかかった。前に来たときと様子が違う。静かな早朝の住宅街という雰囲気はない。せまい路を、次から次に車が通り過ぎていく。しかも、かなりのスピードで走りぬけていくため、走行音が高い。表通りから離れた場所になぜこんな車の流れがあるのか。数分間そこに立ち止まって様子を眺めたが、流れは途切れない。流れの源を辿って見ると、ここを通るすべての車が、10mほど手前の狭い路地から湧き出てくる。路地から出て左折し、10mほど走ったところで小さな公園の端を回りこんで右折し、ポスターの貼ってある路へ突っ込んでくる。どの車も通り慣れているようで、左折右折が連続するS字運転でもスピードはほとんど落とさない。しかも、よく見ると走っているのは、ほとんどが業務用車両で、運転しているのも作業服か背広を身につけている人が多い。つまり、これは仕事車の出勤時ラッシュということらしい。ここは、通り抜け道なのだ。

湧き出し口の先はどうなっているのか。車が走り抜けるため人の通る余地がほとんどない路地の先は、多摩川の堤防に沿って長く続く狭い道だった。なぜこの川沿いの狭い一本道に車が流れ込むのか。この地区は、多摩川と野川に挟まれた細長い形状をした住宅街で、そのほぼ中央を走る幹線路は、幅員がないことから歩行者を守るために一方通行にせざるをえなかったのだろうが、その逆を走る車はより狭い通りを、それこそ縫うように走るしかないのだ。

このような朝夕の抜け道は、仕事上手の知恵ということで、誉められることはあっても止められることはないのだろうが、これでは生活者の安全も安心もあったものではない。こんなに見え見えで危ない抜け道には、なんらかの手を講じるべきではないか。ポスターも良いが、「静かに走ろう」ではこれを警告と受け止める運転者は一人もいないだろう、町内会の気休めと言っては言いすぎか。注意喚起にすらならないアリバイ作りは、そろそろ止めにしたらどうか。

交通安全の観点から、警察に行っても、区役所に行っても、道路改良が必要なことはわかっているが調整に手間と時間を要しており、すぐには解決策はないという答えが返ってくる。もうそろそろ、困ったら行政に駆け込むというパターンだけに頼るのはやめにしよう。同じような問題を抱える地域では、どんな解決策を模索しているのか、住民が自分の問題として動き出さないと解決は見えてこない。

たとえば、関西では抜け道を使う車を警察官が止め、免許証を提示させた上で「地元の人じゃないね。抜け道に使わないでもらえませんか?地元の人が非常に困ってます」という例があるらしい。住民の怒りが警察を動かしたケースだ。世田谷でもときどき見かけるが、路面に凸凹突起などの緩やかな障害物を設けたり、一方通行路の要所に車幅ぎりぎりのポールを立てるなど、もっと本気の嫌がらせ策(ドライバーに気づいてもらうため)は最低限必要だと思うのだが。

運転者が仕事の知恵と言うのならば、生活者の知恵を絞ることも必要だ。とにかく生命が係っているのだから。



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