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出でよ大砲 [新聞記事]

「強打者を生む思想とは」豊田泰光、日本経済新聞、2013年9月19日朝刊を読んで

バレンティンのホームラン記録は止まらない。このままのペースがどこまで続くのかわからないが、少なくとも60本は容易に超えることは確実であろう。それはそれで素晴らしい成績なのだが、では日本人の長距離打者はどうやって育成すればよいのか、あるいは育ててもどこかに限界があるのか、一番気になるこの点について豊田氏はいつものように痛烈な辛口で指摘する。「日本からバレンティンは出てこない」と、そしてそれは決して「体格差の問題ではない」ともいう。

この結論を導いた典型的な例として、18歳以下のワールドカップの米国との決勝戦をあげている。日本代表はこの試合に敗れたのだが、その決定的な差は「スイングの強さ」であるという。この試合では、日本のエース松井裕樹に三振の山を築かれてはいたのだが、最後にはしぶとく安打を重ねて逆転している。「ハードヒット」できているか否かの差だというのだ。

随分不格好な三振もあった。それでも米国の打者は振り続けた。三振を恐れないというより、フルスイングすることしか教えられずに育ってきた、とみえた。日本選手のスイングも相当なものだったが米国の迫力にはかなわない。

この差は打撃に対する考え方の違いから来ると豊田氏は主張する。

米国は「毎回クリーンヒットするのは難しい。打ち損じても外野の前に落ちるようなスイングをしよう」と考える。日本は「打ち損じをしないためにはどうするか」と考える

バットを振れるかどうかは人種の違いとか体格差の問題ではなく思想、教育の問題なのだ。

要は素材より育ち。少年野球まで遡って見直さないと、日本からバレンティンは出てこない。

なるほどそういうものか、西鉄の大砲であった豊田氏が言うのだから技術的には正しいのかもしれない。でも、やや釈然としないところもある。最近ではイチローに代表されるような、安打製造機と呼ばれるくらいの打者をより贔屓するというところが日本の野球ファン全体にあるようにも思う。ブンブン振り回して、時々場外へ飛び出すような巨砲よりも、技巧派の打者が評価されるようなところがあるのではないか。宮本武蔵より佐々木小次郎を、弁慶より牛若丸を好む日本人の感性が、野球少年の未来を縛っているところがあるのではないか。まさに、文化の問題であり、未来永劫にバレンティンは現れないということになってしまう。しかし、それはそれでも良いように思っているのは私だけだろうか。




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