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心柱を見た [見た]

東京スカイツリーの心柱(しんばしら)って知ってますか。

スカイツリーは来年2月の竣工を目指して最後の追い込みに入っている。できあがって5月22日にオープンされてしまえば、誰もが訪れることができるしタワーに触れることもできる。しかし、完成前の今でなければ見ることのできないところもある。それはタワーの中心部。

スカイツリーは地震国日本の特性を考慮し、世界でも類のない制振システムを採用している。タワー全体は鋼鉄のパイプを溶接で組み上げた構造になっているが、その中央部に直径8mの鉄筋コンクリートの円筒を置き、外側の鉄骨構造部分と構造的に切り離し、別々の挙動をさせることで、各々の部分に作用する地震力を相殺させることを意図したものである。この中央部の円筒を「心柱」とよび、この制振システムを「心柱制振」と名づけている。心柱という名前は、長期間にわたり地震による倒壊のない五重塔にある「心柱」から引用しており、これが周囲の屋根を支持する柱梁架構から切り離されていることに由来している。心柱と外周架構の間のクリアランスは約1m程度で、高さ125m以上の部分ではオイルダンパーを設けることで心柱の変位を制御するとともにタワー全体に減衰性能を付加している。この制振により、地震時のタワーの揺れを最大約50%低減することができる。(以上、TOKYO SKY TREE DESIGN BOOK, by NIKKEN SEKKEI より引用)

ようするにタワーの真ん中に揺れ止めのための長い長い柱が立っているらしい。構造の専門的な説明をされても実はピンとこない。タワーの高さ634mという巨大なスケール感に理解が追いつかない。実物を現場で、しかも自分の目で確かめるしかないのだが、たまたま竣工間近(来年2月末予定)のスカイツリーを覗くことができた。まったく僥倖としか言いようがない。350mの高さにある第一展望台までエレベーターで一気に昇り、そこの心柱を見ることができた。

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上の写真は心柱を外から見たもので、外壁と外周架構の間を支えるダンパーが見える。下の写真は心柱の内部で、中に非常用の階段が設けられていることと、入口部分の壁厚がとてつもなく厚い(60cm)ことがわかる。非常階段のプレートをよく読むと確かに350mと記されていることもわかる。こんなに大きな柱がこっそり?とタワーを支えているのかと考えると人の知恵とはすごいなと思わざるをえない。ちなみに、柱の内側は点検用の階段があり、非常用としても使われる。その地上から第二展望台までの段数は、なんと2,523もあるという。健脚家のターゲットになりそうだ(といっても入れてはくれないのだろうが...)。



実は3.11の地震に襲われたときには、心柱はタワーの中心に位置してはいたものの、取り付けは完了していない状態だったというが、みごとに損傷は免れたし、結果として工程遅延も起きなかった。地震と台風の国、日本でとてつもなく高い構造物を作るために、まず何を考え備えるべきかという点に、物を作り始めるはるか前の構想・設計段階から全神経を集中させることができていたということであろう。あらためてこうした分野の技術のすごさに驚嘆する。

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