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羽生名人の八面玲瓏 [雑誌記事]

棋士羽生善治名人が語る「考えない決断力」 AERA 2010年11月15日号より

八面玲瓏とは、周囲を見渡せる状況、転じて透きとおった静かな心持ちをいう。「玲瓏」は、羽生名人が色紙に好んで書く言葉とのことで一つの理想であり、そんな心境で将棋をさせたらいいなと思っていると述べている。勝負に一番影響するのは「怒」、感情の起伏をストレートに表現してしまってはいいことは何もない。だからこそ「玲瓏」の心境を目指しているが、対局が始まるとドロドロとした展開になってしまいまだまだその境地にいたっていないという。

その玲瓏を理想とする名人が語る決断力とは。

羽生名人は、対局で思い切った手を選ぶほう。もちろん、恐怖心や不安はつきまとうが、意外と心配したようにはならないことも経験則としてわかってきたという。しかし、その一方で経験にとらわれすぎ過去に惑わされるのなら、意図的に「過去を見ない」。決断の積み重ねである勝負師には「忘れる技術」が欠かせない。

不確定要素が多く時間もないときに、踏ん切りをつけ決断できる手を選べるときは調子のよいときで、ぐるぐると思考のめぐるときは調子の悪いとき。「長考に好手なし」という格言のとおり。

有力な選択肢を長い時間考えたあげく、三つ目の手が思い浮かぶことがある。正しいこともあるが、外れが多い気がする。最後に思いついた手は慎重に検討しないとミスにつながる。これも経験則。

経験を積むことで不必要な情報が捨てられる。足し算の蓄積で経験が生きるということではなく、無駄なことを簡単に省くことができることが本当の意味での経験を生かすことになる。

考えすぎては泥沼にはまるからどこかで見切る、ということを経験から体得したと言い切るところがすごい。最後は直感ですよと言われると、天才は頭の造りが違うからしょうがないで終わってしまうところ。でも、それでは取り付く島がない。無限の選択から、最善の策を探すという難題をひたすら解き続けなければならない者のみが語れる真実ではないだろうか。

11月2日のアエラビジネスセミナーでは、こうした羽生名人の生の声が聞けたらしい。いまさら後の祭りだが、参加したかった。
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