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「やらない」ことを決め、絞り込むことが「種」 [雑誌記事]

医療機器メーカー・マニー 信頼がもたらす「やらない力」 AERA2010年11月22日号を読んで

アエラが選んだ新優良企業の総合ランク8位に入った宇都宮市のマニーという会社、手術用の縫合針や眼科用ナイフなどで国内外で高いシェアを誇るだけでなく、円高にも負けず連続して増収総益であり、しかも営業利益率が37%と日本の製造業ではダントツで、純資産の割合が9割近いなど財務面も強力である。アエラの資料によれば、直近の売り上げ高218億、従業員数は341名である。

このマニーでは、四つの「やらないこと」が明文化されている。
1.医療機器以外はやらない
2.世界一の品質以外は目指さない
3.製品寿命の短いものはやらない
4.ニッチ市場しかやらない

規模の大きい企業のように、網を広くかぶせてリスクを希釈するという考え方は採らないし、そんな余裕はないということであろう。ITなどと異なり、医療機器は製品の寿命が長く、技術蓄積が有効であることもこのやりかたを支えている。地方の企業が、限られた資源のなかで世界に打って出て、性能でも品質でも価格でも負けないようになるにはこれしかないという一つの例だ。

「小さい会社が世界に進出する最も効率のいい方法が、『世界一』という武器なんです。これ以上の営業の武器もない」同社の松谷正明社長がそのこだわりを語っている。地方の小さいが世界級会社のまさに手品の「種」である。

実は、アエラが選んだ新世代の優良企業56社の中に精密機器の会社は、このマニーともう一社メディキットというやはり医療機器に強い会社のわずか2社しかない。56社の過半を占めるのは、サービス業と情報・通信だ。日本の強みは「ものづくり」にあるという話しは良く聞くが、すでに今の産業構造の様子はそうした思い込み(あるいは願望)が遠い過去のものであることを思い知らされる。

しかし「ものづくり」はもうギブアップしようと言いたいわけではない。マニーのような徹底した執着(こだわり)と,それを実現する強力なマネジメントの力があれば、世界の壁も破ることが可能なのだ。

14日放送のNHKスペシャル「灼熱アジア、日韓中緑色戦争」では、中国という環境ビジネスの巨大マーケットに喰らいつこうとする韓国と日本の企業の熾烈な戦いが取り上げられていた。自国内市場の極めて少ない韓国と、それに比べればかなり豊かといえる日本との必死さの違いがこれから先の中国での結果を暗示しているようで、見ていて正直かなりつらかった。それでも、やはりここにチャレンジするしか日本の未来はない。マニーのような例があるのだから、ここから何を学ぶことができるか、それはサービス業でも情報・通信業でも変わらないはずだ。

The Best Quality IN the World TO the World
「世界一の品質を、世界の隅々へ」
これがマニーの標語。社員の黄色のユニフォームの背に書かれている。

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