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手のひらを太陽に [気がついた]

「ソーラークッカーを震災避難所の熱源に」

写真.JPG3月11日午後2時46分。東北から関東北部の太平洋岸地域が巨大な地震に襲われた。その規模と破壊エネルギーは、事前の想定をはるかに越えるもので、日本の歴史上でもおそらく最大級。1923年の関東大震災より1桁以上大きく、1995年の阪神大震災より2桁もしかすると3桁大きいかもしれない。そして、地震とその直後に生じた津波で被ったダメージの深刻さは、世界的にも例の少ない最悪レベルのもので、先進国ではどこも経験したことのない状況が突然に現実のものとなった。

これだけでも十二分に過酷なのに、さらに福島第一原子力発電所の事故に襲われており、震災の後は復旧そして復興へと進みたいのだが、気持ちも体制も一気に切りかえられない苦しい状況が続いている。

現在、被災地では7県で44万人を越える避難者が一時的な避難場所に身を置いているが、どこも必要な支援と物資が足りず、3月中旬になってもまだ気温の上がらない気象条件下で劣悪な環境を凌ぐことが難しい状況が続いている。電気が通っていない場所が多いため、暖房も照明もない。暖房器具も不足しているが、なにより燃料が決定的に足りない。避難所には、徐々に食糧などの支援物資が届くようになるのだろうが、いまできることはないのだろうか。

そこで、提案。 「避難所でソーラークッカーを使い、必要な熱源としよう」
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ソーラークッカーはあまり知られていないが、太陽熱温水器と同様に太陽の光を反射板で集光し発生させた熱で調理を行う器具に与えられた総称。原理は極めて単純でルーペで黒い紙を燃やすのと変わらない。レンズと反射板の違いがあるだけ。

アフリカなどの途上国では、主に調理のために薪を燃料とすることが依然として多く、慢性的な薪不足と森林破壊を生じている。また、薪の多量使用による深刻な大気汚染をもたらしている。こうした悪循環を少しでも緩和させるための方法論の一つとしてソーラークッカーの普及が進められており、各国のNGOなどがこれに取り組み、既に20年以上の実績を重ねつつある。中でもダンボール製の簡易なパネル型のソーラークッカーは安価で大量に配布できることからさまざまなものが製作・販売もされている。また、欧米ではソーラークッカー関連の営利・非営利団体を統率する Solar Cookers International(SCI)などの団体が国際的な活動を展開している。そのCooKit(パネル製のクッカー)も導入数の多さで良く知られている。

ソーラークッカーの種類は形状から集光型、熱箱型、パネル型などに分けられるが、簡易な構造でありながら、そこそこの性能を発揮するパネル型が被災地の避難所には向いている。ダンボールの表面にアルミ箔を貼り付けるだけで反射板になるので、なにより材料の調達と加工の難しさがない。またこの道具では、調理に必要な85度以上を容易に確保できる一方で、原理的に燃焼事故を起こすほどの高温にはなりえないなど、安全面での利点もある。またペットボトルに水を入れれば湯たんぽ代わりに暖めることも可能であり、補助の熱源としても価値が大きい。とはいえ、製作スキル(小学生の夏休み宿題程度?)と危険回避のための操作教育をこなせるスタッフが必要なので、避難所にボランティアが入るまでは導入は容易ではないかもしれない。

画像は足利工業大学で研究開発され市販もされているソーラークッカー。晴れていれば1時間で500mlの水を沸騰させられる能力を持つすぐれもの。実は、足工大の研究室から1台拝借して真冬に実験したところ、間違いなくお米をおいしく炊くことができた。とてもダンボール製とは信じられない力を発揮する。これは避難所で有効に使えると思う。ただし、市販のソーラークッカーは、簡易なパネル型でも、おそらく在庫を大量に持っているわけではないので、配布は難しいように思われる。それより、手作りでもそこそこの性能は期待できるので、材料を調達して製作してはどうだろうか。あるいは、組み立て前の段階まで作ったものを避難所に送るという方法もあるかもしれない。なにせ、ダンボール製で畳んで送ることができるので、救援物資の邪魔になることもあまりないだろう。問題は受け入れ態勢とのマッチングだ。そこをうまくつなげられれば大きい助っ人になるのだが。

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