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スペインの風に吹かれて [ニュース]



21%にまで風力発電が増えてきたのは確かに驚きではある。ヨーロッパはいずれの国でも(フランスはやや趣を異にしているが)再生可能エネルギーの比率を高めようとしているので、競争になっているが、スペインは地の利もかなりあるのではないだろうか。大陸の西端に近く、大西洋からいつも吹いてくる強い西風を期待できること、広い国土面積の割には人口が少なく、未利用地が大きいことなどの理由があるものと推測できる。それにしても、2008年のIEAの統計値によると風力の比率はまだ10%なので、この伸びはすごい。

スペインは電力エネルギーの柱を天然ガスに置いていることが特徴(フランスは原子力、ドイツや米国は石炭)で、例えば石炭依存のドイツとはこの点でかなり異なっている。これは、自国内のエネルギー資源があまり豊かではない国(日本のように)のエネルギー政策の選択の結果と考えるべきであるが、結果としてよりクリーンでかつ原発にあまり依存しないエネルギーミックスになっており、それがさらに向上していることになる。

しかし、この公表値は少し注意して見る必要があるかもしれない。3月の単月の値が前年値を5%上回っているというのだが、スペインにとって3月は冬が終わって暖かくなり始めた月で、季節の変わり目で一年の中でも風の強い月なのではないだろうか。今年はその傾向がより強かったということかも。また、春になって急に暖かくなって全体の使用電力が減少して分母が小さくなったということもあるかもしれない。もっとも、スペインが国策として風力発電の開発に注力していることは良く知られたことなので、新規の設置台数も確実に増えてはきているのだろうが。

日本ではなかなか普及の進まない風力発電だが、やはり地の利がないのがつらいところ。わずかに北東北から北海道に適地が散在するものの、日本はどんなところにも人が住んでおり、環境への配慮を欠かせないので、設置のハードルがどうしても高くなる。欧米で多く採用されている洋上設置についても、遠浅の地形が狭く適地が豊富とは言い難い。それでも、福島の事故がきっかけで日本のエネルギー政策が見直されることになってくれば、できないできないとばかり言っていても何も変わらないので、良い方向への動きが出てくることを期待したい。
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