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遠方目標はどこだ [講演を聞いて]

日本再生シンポジウム「日本を元気に」いま私たちにできること、2011年7月25日三井日本橋ホールにて
(録音もメモも取っていないので、記憶に誤りがあるかもしれないが、大きくは違っていない。たぶん...)

シンポジウム後半のパネル討論に参加した村井嘉浩宮城県知事が戦場の現場指揮官として圧倒的な存在感をみせた。文字にしてしまうと普通のあるいは常識的な内容でも、人の言葉として投げかれられるものの力はすごい。人を束ね引っ張っていくというのはこういうことだということが直感的に理解できる。

村井知事は繰り返し、被災者だけでは復興はできないと訴えている。もともと、東北は農業と水産業に強みがあったが、政府の振興策が有効に機能しないままに高齢化と零細化が進行してしまったので、元に戻すだけでは抱えていた構造的な問題は解決しない、しないどころか、20年後30年後には若者がいなくなり産業が滅びかねない。だから、いま思いきって集約統合による規模拡大と民間活力の導入を進めるべきだ。既得権者からの反発も大きいが、この方向に対する理解を広げてなんとか進めたいと熱く語った。

現状の規制を乗り越える仕組みを準備すれば、復興に参加したい企業が必ず被災地に乗り込んでくれる。国内だけでなく国外の企業も資本も、そこに魅力とビジョンがあるとわかれば必ず参加する。だからスピードがとにかく大事、そして財源。これができないと何も前には進まない。さらに、日本の官僚はとても優秀だから、進む方向さえきっちり示せば必ず期待に違わぬ、いやそれ以上の結果を出してくれると強調する。だから復興はできる、日本は再生できると断言した。政治主導などという机上の言葉あそびにうつつをぬかしているどこかの集団に聞かせたい。

そして、知事がシンポジウムの最後のまとめで述べた次のエピソードは新しい内容ではないのだが、いまの日本の政治状況を思うと、要点まさにここにありと感じる。

「私は自衛官時代、ヘリのパイロットでした。ヘリを発進し、最初にやるのは遠方目標をとるということ、できるだけ遠くの山や鉄塔などを、最初に遠方目標とする。そうしておいて、その手前に中間目標を見つけこれを結んで軸線とする。風や霧で自分の位置を見失っても、まず遠方目標を見つける。そしてすぐ軸線に戻れば、目的地にたどりつけます。下ばかり見ていると、自分がいまどこを飛んでいるのかが分からなくなりますが、遠方目標にもどるという原則さえ保てれば進む道を失うことはありません。知事になって、将来ビジョンをつくった時に、分かりやすい遠方目標を掲げることで、県づくりに努めてきました。国にお願いしたいことは、この国の未来、例えば百年後の姿を示してほしいということです。」

菅さんの最大の強みはリアリズムにあるそうだが、ときにリアリズムを追いかけすぎて理念をなおざりにしがちだともいう。もちろん、そこには遠方目標などない。まったく残念なことに。

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