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太陽のかくも長き不在 [ニュース]

- 太陽が17世紀以来の長い静穏期に突入か -
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2011年8月18日のBBCニュース Sun storms 'could be more disruptive within decades' より

太陽がほぼ11年で活動の盛衰を繰り返していることは、ガリレオが自作の望遠鏡で太陽の表面に現れる黒点の出没を観測して以来、良く知られている。英国Reading大学のMike Lockwood教授によれば、このあたりまえに繰り返されてきたサイクルが数十年にわたって止まってしまうという。

既に数年前から、どうも太陽の様子がこれまでとはかなり異なっていることが指摘され始めていたが、今年に入ってこの変調がただならぬ物であることが太陽物理学者の間で共有されるようになっていた。太陽の表面に多く出現する黒点がまれにしか現れなくなってしまったのだ。黒点が出現しないからといって、太陽が急に衰えてその生命が尽きんとしているというわけではない。これまでも人類が太陽の観測を始めてから(といってもほんの数百年だが)の間にも同じようなことが起きている。17世紀半ばの50年間(1650-1700)に黒点が現れない長い太陽活動の静穏期があった。

こうしたドラスティックな変化がなぜ生じるのかはまだよくわかっていない。それでも、静穏期が半世紀も続いても人類は滅んでいないので、こんども(もし起きても)過剰に心配する必要はないだろう。それはそれで安心なのだが、無線通信やラジオやTVといった身近なものから電波航法まで、現代の活動に欠かせない道具が、この長い静穏期には大きなリスクに曝されかねないという。

これまでも、太陽の表面で生じる爆発が高エネルギー粒子を大量に吐き出し、地球を襲う時に電離層を刺激して著しい電波障害を生じることは頻度は少ないながらも時々生じてはいた。その原因である太陽が静穏期に入るのだから、そうした障害も少ないはずと思いたいところだが、実際は全く反対で太陽活動が静かなときほど爆発が大きくなりより大きな障害を地球上にもたらすらしい。これは、極地方の氷河ボーリング調査によって1万年前まで遡って確かめられており、これはどうやら避けがたい現象らしい。さらには、太陽活動の静穏化は、銀河宇宙線の地球への到達を活動期に比べて容易にさせるといった効果ももたらすと考えられており、地球の厚い大気が防御してくれるはずだが、どうもあまり気持ちのよい話ではない。

実は、17世紀の太陽静穏期と重なるように、北半球はかなり寒冷化したことがわかっている。しかし、メカニズムの説明ができているわけではなく、太陽活動の停滞は寒冷化の原因ではないと否定する意見も多い。確かにそのときには、衛星も飛んでいなければ、太陽も地球さえも十分に観測されてはいなかった。まさにBBCが指摘するように、現代文明を謳歌する我ら人類が、始めてこの太陽の変節に直面することになる。これから何が始まるかはまだ霧の中だが、心の準備だけはしておかなければならないだろう。




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