SSブログ

健康は脂ぎった食事から [雑誌記事]

「肉・卵・バター食べよう」長谷川熙、AERA 2012.11.19号 を読んで

肉や卵に偏った西洋の食事よりも、ご飯を中心にした日本型の食事のほうが健康的だと疑いもなく信じてきた。こうした日本型食生活は、特に糖尿病を防ぐものとされていた。言い換えれば、肉、卵、バターの摂取は糖尿病にはよくない、避けるべきだということになる。これは日本人の常識であり、脂ぎった食事は、糖尿病はともかく、体に良くないと固く信じていた。

ところが、これは全く逆であるというのが、今や世界の常識になっているというのだ。日本の農業や医療を中心に長く取材を続けてきた長谷川熙氏によれば、我々日本人は食と健康の常識について長く大きな誤りをおかしていたらしい。

糖尿病は、体内で糖質の消費を促進するインスリンの分解が滞るなどの変調をきたし、血糖値が高まることで血管の炎症を促し、それを壊すことに始まる。悪化するとまず目や腎臓などの微細血管が傷み、これがさらに悪化すると心筋梗塞や脳梗塞にいたる。その糖尿病の原因が先ごろ(!)まで炭水化物ではなく、脂肪の過剰摂取によるものと見誤られていた。

しかも、重要なことは、この“間違いに気づいた欧米ではとうに治療の転換がなされているのに、日本ではほとんどの医療現場がまだ旧態依然としている”ことであるという。

糖尿病の原因を、脂っぽい欧米型食生活に求めた従来説の否定に日本で先鞭をつけた一人である大櫛陽一氏(東海大名誉教授)は、「大勢の患者が間違った治療で苦しんでいる。そんななかでむしろ患者が作りだされ有害無用の治療・投薬をされている」と述べている。

それでは、なぜ海外の医学界も近年まで糖尿病の犯人を脂肪と決めつけてきたのか。大櫛氏は。この点について影響力の強い米国糖尿病学会(ADA)に引きずられたことが大きかったとしている。それでもADAは、2004年に「食後に血糖値を上昇させるのは炭水化物のみ」と認める根本修正を行い、糖尿病対策を脂肪から炭水化物の摂取抑制へと大きく方向転換した。それが、炭水化物摂取量の目安を1日あたり130グラムにすることにつながった。ちなみにこの値は、日本人の摂取量平均値260グラムの2分の1である。

こうした新しい知見は、糖尿病患者の治療に適用されただけでなく、健康な人も予防のために炭水化物食を半減させたらいいと同氏は勧めている。

そして、ここが重要なところだが、実は炭水化物摂取が体に良いという神話を作り、維持しているのは他のだれでもない「国」だったと長谷川氏は指摘している。

厚労省が5年ごとに改定する「日本人の食事摂取基準」(最新は2010年版)で、日本人のエネルギー摂取の50~70%を炭水化物でまかなうとしているのだ。さらに、この背景として、2000年に農水省、文部省、厚生省によって定められた「食生活指針」とこれを外食産業にも徹底させるために2005年に定められた「食事バランスガイド」があるという。この指針とガイドラインで食事を主食と副食にわける日本の食習慣が「国策」的に固定化され、ご飯やパン、麺などの炭水化物が最重要食として位置付けられた。糖尿病という医療の問題が、農政の影響下にあったのだ。日本の農業を支えるという大義と糖尿病対策がなんの不思議もなく結びついたのだ。これについて長谷川氏は「糖尿病を国家が多発させている」と断じている。


それにしても、健康に良いと信じてきたことが、全く逆さまであったとは。明日から、いや今日からでも、脂ぎった食事に切り替えていかなければ...

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

-

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。